最近話題? 見える化を超えた「オブザーバビリティ」ってなんだ?!
皆さんは「オブザーバビリティ:Observability(o11y)」という言葉を聞いたことありますでしょうか? オブザーバビリティとは、直訳すれば「可観測性」です。いま、このオブザーバビリティこそが運用をはじめ、システムが円滑に、安全に稼働するために必要だとされています。では、このオブザーバビリティは今までの実施されてきた「見える化」とは何が違うのか整理してみましょう。
そもそもシステムにおける「見える化」とは?
どうしてシステムの「見える化」をすることに注力されてきたのか。それは、ITの社内導入の進捗に伴い、様々なシステムが長期的視点ではなく、必要に迫られて開発・制作されてきた経緯があります。
システムは使う部門や用途だけに注力して開発され利用されてきました。そのため、支社、関連会社内のシステムがバラバラに開発されているケースもあり、社内のシステムは複雑かつ細分化されてしまっているケースが多くあります。
また、システム開発はどうしても「作ること」に注力されてしまい、システム開発後の運用や保守が配慮されていないケースも多かったことでしょう。さらに、システムの管理場所も物理サーバから社内からクラウドに広がっていたり、部署によってASPツールの利用もあり、自社開発ではないシステムとの連携なども考える必要も出てきたり…と、ITの進化とともに、会社や部門によってかなり複雑になっていることでしょう。
そうした中で、システムを安定して安全に運用するには、一つ一つのシステムを個別管理していくのでは、限界が出てきました。そのため、様々なシステムをまずは一元管理できるツール等を利用して一元管理を実施させていきました。一元管理ができると、今後は属人化しないように管理していくため、ダッシュボードのような形で見える化を実現させました。「見える化」することで、関係者で内容を共有し、トラブルの把握や対応を出来るだけ迅速に対応させようとしてきたのが、昨今の保守・運用における「見える化」でした。
「見える化」以上の考え方「オブザーバビリティ」とは?
システムの状況を関係者で共通に認識できるようにした「見える化」により、状況の把握はできるようになりました。しかし、「見える化」をしても、トラブルやエラーの出ている原因まで表示されるわけではありません。あくまでも「現状を可視化した」だけなので、原因追及までわからないという状況です。可視化された情報から次の手順や対応が必要になってきたのです。
可視化された情報から、問題点を見つけ出し、原因を追究し、解決するという、システム保守・運用の一番重要な部分を素早く対応できるようにならないといけない、その原因や問題までも一元管理できるようにしようとしているのが、「オブザーバビリティ」です。
システムの「見える化」だけであれば、このようなワードは登場しなかったかもしれません。「オブザーバビリティ」は、見える化することではありません。「見える化」されたシステムの状況を、
- 可能な限り簡単に状況把握、正確な情報を取得
- 解決するべき事象や指標を得て解決策を把握
- その原因は何だったのかを理解し改善
これら3点を目指すことが「オブザーバビリティ」としての主な役割と考えられます。
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様々な形で存在しているシステムそれぞれを、把握・理解し、保守・運用するのはとても骨の折れる作業です。現場で日々保守・運用に携わっている方ならわかると思いますが、システムの全体像を把握することはそう簡単なことではありません。DX等のIT改革が進行している昨今、「オブザーバビリティ」は、一元管理で現状把握から原因追及まで行えるようにすることが保守・運用には重要であると定義されていたことにより生まれてきた概念・考え方であるといえるでしょう。
「見える化」だけでは問題は解決しない——そこでいま、「オブザーバビリティ」という考え方に注目が集まっています。
保守・運用は「監視」から「分析・原因追及」が必要な時代に
少し前までは、システムの保守・運用では、システム監視をしていることが重要でした。監視をして異常値が出た時に的確にアラート等を上げてくれるので、アラートが上がったらすぐに対処できる体制や仕組みが重要でした。
しかし、それが有効だったのは、シンプルなシステム構成だった時です。
DXによるIT革命が日々行われ、様々なサービスやシステムとの連携などが必要になってきている昨今では、システム構成が複雑なので、監視でアラートが上がったとしても、その原因を把握するまでに、とてつもない時間と労力を必要としてしまいます。それでは、いつまでも安定したシステム運用ができません。
そこで「オブザーバビリティ」の登場です。今までの監視のように異常値が出ていないかを確認するだけではなく、システムの内部の様々な情報をデータとして取得し、そのデータに属性を付与して管理します。これにより、どこかでアラートが出たときは、関連するデータの属性を基にして辿ることができ、複雑なシステムであっても原因の究明や把握がスピーディに行えるのです。
このように、データを活用して速やかに原因を発見する仕組みが「オブザーバビリティ」であり、システム保守・運用の味方になってくれるのです。
次回は、「オブザーバビリティ」によるメリットは何なのかを考えてみたいと思います。
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