システム運用・保守のコストダウンをどのように進めるべきか?

企業のビジネスにとって、ITシステムはなくてはならない存在です。国が企業に強力に推奨しているDX化の波もあり、既存業務の効率化や生産性の向上に留まらない、革新的な変化が求められています。ただし、ITシステムには、開発だけでなく運用や保守という継続的にコストが掛かる作業が必要になります。
システム運用・保守は、企業の売上高や利益を維持する重要な業務ですが、売上高や利益を増やすことに直結してはいないので、経営者としてはコストダウンを進めたいところ。しかし、コストを削りすぎると、運用・保守の質が落ちてシステムが危険な状態に晒されてしまいます。
そこでこの記事では、企業がシステム運用・保守のコストダウンをどのように進めていけばよいのか考えてみます。

DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~ | 経済産業省 デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会
https://www.meti.go.jp/shingikai/
mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf

システム運用・保守とは

システム運用・保守にも元々の一般的な意味がありますが、ITの世界では「システムを正常に稼働させるために必要な措置を講じること」という意味で使われています。
コンピュータやIT、デジタルといった言葉に「いつも、間違いなく動く」というイメージを持つ人は少なくないと思いますが、システムはさまざまな影響で変化するため、適切に管理しないと正確に動かなくなることがあります。それでシステム運用・保守が必要になるわけです。
システム運用・保守の具体的な業務は以下の通りです。

■システム運用・保守の具体的な業務

  • 障害を予防する措置
  • 障害発生時の復旧作業
  • 日々滞りなくシステムを動かすためのルーティン業務
  • サーバやネットワークの監視
  • 監視から得られた情報の分析
  • メモリやディスクなどのリソースの増強
  • 機器のメンテナンス
  • 老朽化対策
  • バグの修正
  • OSのアップデート、など

システム運用・保守は自動車の車検と似ています。車検では車体もエンジンも保安部品もすべてチェックして、不具合が出ている個所は部品を交換しなければなりません。適切なメンテナンスをしなければ、安全に走行することも、元々の走行性能を維持することもできません。
システムも運用・保守を怠ると、動かなくなったり性能が低下し、ビジネスに影響を与えます。

コレって我が社だけ!?システム「運用」と「保守」ってどう違う? | 運用ナビ
https://un4navi.com/prologue/19001/

コストは15%が目安だが、実際はまちまち

システム運用・保守の年間コストは、一般にはシステム開発費の約15%が目安と言われます。つまり1,000万円のシステムを導入した企業は、運用・保守に毎年150万円を出費する計算になります。ただし、この金額はあくまでも目安であり、15%より安く済むことも高額になることもあります。

なぜ企業は運用・保守コストを削減しなければならないのか

車検のたびにすべての部品を交換していたら、出費がかさむ一方です。車検前の整備では、必要最小限の部品交換に留めるのが妥当です。システム運用・保守についても同じことがいえ、コストは必要最小限な部分に投下すべきです。
企業の内部留保は増加傾向にありますが、システム運用・保守コストは自社の資金から捻出しなければならないので、企業規模が小さくなるほどその負担感は増していきます。

企業の内部留保、9年連続で過去最高更新…前年度比2%増の484兆円 : 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210901-OYT1T50166/

中小企業庁:2021年版「中小企業白書」 第1節 中小企業の財務基盤・収益構造と財務分析の重要性
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/chusho/b2_1_1.html

しかも、今、保有しているシステムは、現時点の効率性や生産性を維持するためには不可欠ですが、効率性と生産性をさらに高めることはありません。ところが運用・保守コストは毎月、毎年掛かってきます。仮に運用・保守コストが毎年、システム開発費の15%掛かるなら、約7年でシステム1個分の金額になります。
もし運用・保守コストが利益を押し下げる要因になっていたら、システムは「経営のお荷物」になってしまいます。そのため企業は、常に運用・保守のコストダウンを考えていかなければなりません。

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なぜ運用・保守コストを必要以上に削ってはいけないのか

また、車検を例に説明してみます。
車検でタイヤをチェックする場合、タイヤの溝の深さを測り、基準より溝が浅いと不合格です。ギリギリでも基準さえ満たせば、溝が浅くても車検自体は通りますが、パンクするリスクは高いままです。もし実際にパンクしたら『早めにタイヤを交換しておけばよかった…』と後悔することになるでしょう。
システム運用・保守でも、コストを削ろうと思えばいくらでも削ることができます。極論すれば運用・保守を一切しなくても、システムはしばらくは問題なく動き続けるでしょう。
しかしその状態は、システムだけでなく、ビジネスそのものを危険に晒しているようなものです。
実際にシステムが故障して売上や利益が減るだけでなく、取引先や顧客の信頼を失えば、『運用・保守コストのほうが安かった…』と後悔することになるでしょう。

システム運用のコスト削減(1)- コストが掛かる理由はコレ | 運用ナビ
https://un4navi.com/efficiency/19020/

コストダウンのポイント その1:システム全体をさらに活用する

もし自社のシステムを増やせる状態にあれば、生産性が高まって利益が増えることで、システム全体の運用・保守コストも下げられます。システムを10個から20個に増やせば、生産性は2倍以上になるかもしれません。その一方で、システム運用・保守コストは2倍にはならないので、負担は減らせます。
また、古いシステムを新しいシステムにリプレイスすることでも、効率性や生産性は向上し、運用・保守コストを減らせす。

コストダウンのポイント その2:優秀な人材を確保する

システムを増やして生産性を上げ、利益が増えると、システムを運用・保守できる人材を雇用できる余裕が生まれます。システム構築の知見も持っている人を採用できれば、自社のDX化を進めることができ、結果として人件費は割安になるでしょう。
優秀な人材を確保してコストダウンを図る考え方は、運用・保守コストをDX戦略の中で考える方法です。運用・保守コストを単体で考えると、どうしても「無駄な経費」に見えてしまいますが、DX戦略の一環として考えると「必要経費」とみなすことができます。

コストダウンのポイント その3:システム運用を自動化する

運用と保守のうち、運用は自動化できます。つまり、これまで人の手で処理していた運用業務を自動化システムに置き換えられます。システム運用を自動化することで、人手を減らすことができ、エンジニアの負担や人件費の抑制につながります。

コストダウンのポイント その4:アウトソーシングを賢く使う

先ほど紹介した『優秀な人材を確保する』とは逆の方法ですが、運用・保守をアウトソーシング(外注)するとコストダウンできることがあります。
企業規模が小さく、使っているシステムの量が多くない企業であれば、運用・保守をアウトソースすることで、社内に運用・保守の人材が要らなくなります。また、すでに社内にIT人材がいれば、その人を運用・保守から解放して、IT戦略を実施してもらうことができます。
さらに、すでに運用・保守を外注している企業なら、別の会社に相談してみることも有効です。別の会社なら、自社に合ったより良い方法を提案してくれるかもしれませんし、既存の外注先も競合が現れればコストダウンの交渉材料になるかもしれません。

システム運用をアウトソース!?コストや効率化だけじゃない真価とは? | 運用ナビ
https://un4navi.com/efficiency/19047/

不要なものを見極めて必要なところにお金をかける

システム運用・保守コストは、『よくわからないけど必要なものらしい』と考えてブラックボックス化することも、『少なければ少ないほどよい』と大雑把に考えることも禁物です。
なぜなら、ブラックボックス化すると費用対効果を確認できず、大雑把に考えるとシステムを危険に晒すことになるからです。
コスト管理は、不要な出費を減らすことと、コストを掛けるところにはしっかり掛けることの2つの要素で成り立っています。運用・保守コストも、この2つのバランスを考えていきましょう。

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