こんなはずでは…ロボットで自動化するRPAに潜む3つの落とし穴!

ロボットによる業務の自動化であるRPA(Robotic Process Automation)については、概要や特徴、背景を他のエントリでも紹介してきました。必ずしも人が張り付いて操作しなくてもいい退屈な定型処理を任せられるRPAは、人材不足が深刻な課題となっているIT業界で大きな注目を集め、国内外の市場も引き続き拡大傾向にあります。
しかし、より複雑な操作ができる「レベル2」への移行を模索し始めた途端に、急にハードルが上がってしまいます。実際、成長は予測されていますが、その伸び率は鈍化すると見られています。ここで、RPA導入の注意点について考えてみましょう。

ロボットを味方につけよう!RPAで自動化を検討する理由
https://un4navi.com/automation/19014/

RPAによる自動化はExcelマクロやAIとどう違う?導入の注意点は?
https://un4navi.com/automation/19015/

ITR、国内のRPA市場規模推移および予測を発表:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP494025_V21C18A0000000/

RPAをレベル2に移行できるのか

総務省のWebサイトによれば、RPAはシステムの自己学習機能や判断基準によって、3つのレベルに分類されています。現時点で一般に実用化されているのは、「レベル1」という最も初期の段階です。これが、AIと融合させることで、より複雑で人間に近い業務を任せられる「レベル2」への移行が期待されますが、現実にはなかなか難しいのも事実です。

総務省|情報通信統計データベース|RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html

レベル1:RPA:Robotic Process Automation
これまで人間が作業してきた単純作業を自動化します。処理エンジンに判断基準や対処などのルールを設定しますが、設定されていないイレギュラーには対応できません。

レベル2:EPA:Enhanced Process Automation
自由記述式の問い合わせなど、一部が定型ではない業務を自動化できます。RPAとAIの技術を用いることで、自然言語や画像、音声を解析できます。構造化されていないデータを収集することで、RPAがカバーできないイレギュラー処理にも対応します。

レベル3:CA:Cognitive Automation
ディープラーニング(深層学習)や自然言語処理など、高度な自律性を持つAIシステムで、ビッグデータ分析により自己学習して成長します。プロセスの分析や改善、外的条件にあわせたパラメータ設定、人間と近い水準の意思決定までが可能です。

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1:ITシステムに不慣れな人も使っているRPA

高度なプログラミングなどを必要とせずに使える「レベル1」のRPAは、必ずしもITシステムに精通している部署以外の人が使うケースも増えています。RPAのことを、『Excelマクロやテストツールが進化しただけ』という、やや懐疑的で皮肉交じりな見方は、ある意味間違っていないかもしれません。
ただし、手軽に導入できる分、ソフトウェアのバージョンで機能が変わったり、ボタンやメニューなどのUIが変わった途端に、正しく動作しなくなる場合もあります。ITシステムに十分な知識と理解がないユーザだと、『折角導入したRPAだが、時々止まって使い物にならない、返って手間が増えてしまった』という、ネガティブな印象を持たれてしまうことになりかねません。

2:「部下」を育てられる上司か?という評価

「デジタルレイバー(仮想労働者)」とも呼ばれるRPAが有効に機能するには、自社の業務の中で、何をどのようにすれば十分に活用できるのか、何が得意で何が不得意なのかの判断が必要です。ただし、既存の作業の一部を無理にRPAで処理できるように変えることは、本末転倒。どの部分ならスムーズに移行できるのかを見極め、必要に応じて修正を加えながら、徐々に「鍛えていく」必要があります。
これはちょうど、業務にまだ慣れていない新人の研修のようなステップ。つまり、自分自身の通常業務とは別に、新人研修という別のタスクが発生することを意味します。

3:そもそも本当に自動化して、続けるべき作業なのか!?

確かに、RPAによってできた時間を有効活用し、人でなければできない業務の質を上げていくことも確かに重要です。しかし、クラス2への移行はむしろ、ロボット自体でさらに付加価値の高い業務を遂行できないかという視点が求められます。
そもそもRPAを導入してまで残す価値のある、本当に必要なプロセスなのか?自動化することそれ自体が目的化してしまっていないか?小手先の業務改善で満足するのではなく、実は、もっと根本的な改善が必要ではないのか?例えば、『手書きの紙原稿をOCRで読ませるよりも、直接ユーザに入力してもらう時に、キーワードを自動判別して入力を支援するアプリを開発できないか?』といったアイデアが出てくるのは当然です。

RPAを実践していく環境づくりが必須

『そもそも、RPAで何をすべきか?』この点を突き詰めていくと、当然、社内での影響範囲も大きくなります。前述のように『期待したほどではなかった』『メンテナンスが手間でパフォーマンスがよくない』といった評価の声もあるかもしれません。また、今抱えている業務で手一杯な中で、業務プロセスを変えることに強い抵抗を覚える人たちもいるはずです。

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