RPAに絶望した人へのソリューション提案:(株)コムスクエア様インタビュー
左からIIJの福原と五十島、(株)コムスクエアの田嶋さんと露木さん
株式会社コムスクエア
執行役員 田嶋 規明 さま
同 ネットワークソリューション事業部
セールスチーム リーダー 露木 哲也 さま
ヒットの予感がする「robostein(ロボシュタイン)」
IIJ 福原(以下、福原) 「Interop Tokyo 2019」でのお話し、ありがとうございました。御社のクラウド型RPA「robostein(ロボシュタイン)」が、「Best of Show Award」で審査員特別賞も受賞されていましたけど、その後、どうですか?
受賞企業 | Interop Tokyo 2019 (インターロップ東京 2019)
https://archive.interop.jp/2019/award/winner/
田嶋さま-(株)コムスクエア | Interopインタビュー
https://un4navi.com/interop/19029/
コムスクエア 田嶋(以下、田嶋) こちらこそ、ありがとうございました。お陰様で引き合いが強く、ヒットの予感がしています。
福原 やはり、RPAの管理に困っているお客さんのニーズが増えてるんですか?
田嶋 それは感じます。「パトロールクラリス」は統合監視ソフトウェアとして好評いただいていますし、「パトロールロボコン」もRPAツールとしての機能的な特徴も持っています。ただ、ロボットが複雑になると職人系の人しか使えなくなったり、いろんなロボットがあり過ぎれば管理が煩雑になってしまう。そこを、効率的にクラウドで管理できるのが「ロボシュタイン」です。今までのプリセールスでは、顧客にITサービスをトータルで提供するいわゆるMSP(マネージドサービスプロバイダ)や、データセンターなどが多かったんですが、それ以外の企業にも拡がりを見せています。
パトロールロボコン
https://patrolclarice.jp/products/rpa
コムスクエア 露木(以下、露木) 他社さんのRPA管理サービスもいくつかあるんですが、自社のRPAしか管理できないとか、複数のRPAの管理が面倒、スケジュール管理が弱いといった弱点があるようです。ロボシュタインの強みは、それらをカバーするだけでなく、プレゼン先でデモを見ていただくと、使いやすいGUIやローカライズされた説明、使いやすいノード設定などに『簡単に、すぐ使えそうですね!』と、興味を持っていただけることが多いです。
福原 やっぱり、そうなりますよね!個人的には、メディアでいろいろ取り上げられた「ブームとしてのRPA」のピークは、2018年で終わっているかなと思っているんですよ。自動化したはいいものの、「野良ロボット」のようなものが増えすぎて、実は、管理が大変になっている今は、RPAへの注目が下降気味な気がします。だからこそ、ロボシュタインのような統合型の管理サービスがないと、システム運用の担当者としては面倒なだけですよね。
田嶋 仰るとおりです。結局、システム運用部門の仕事って、監視や保守など全部を俯瞰して見る必要がありますよね。前後のフローを考えながら、個別のRPAを調整するのは、もの凄く大変なはずなんです。ロボシュタインは、RPAが動くジョブの前後のトリガーや結果を監視して、ダメなら通報やリトライする過程をGUIで簡単に設定できます。実際にお客さまの目の前でデモすると、現場担当者のウケはかなりいいですね。
IIJ 五十島(以下、五十島) 私もお客さまと接していて感じるんですが、使いやすさは確かにサービスの強みの一つですよね。設定が難しいと思われてしまうと、どれほど魅力的な機能が充実していても、導入の障壁になりますよね。
ド変態が使いやすくした、プロ用エージェント
田嶋 はい、その辺りはパトロールクラリスの基本的な考え方を受け継いでいるんです。ちょっと使う分には、簡単な設定でスタートできる一方、プロがとことんディープに使おうと思えば極められる、例の「ド変態が開発した、現場のプロ用ツール」としての、精神ですね(笑)。パトロールクラリスのエージェントから派生させた、ロボシュタイン用の「RSエージェント」が機能しています。
福原 でしょう?やっぱりエージェントを作ってよかったじゃないですか!『絶対、エージェントがいい!』ってずっといったんですよ!
田嶋 ありがとうございます、福原さんのおかげです(笑)。パトロールクラリスは、長年にわたりエージェントレスを売りにしていたので、社内でも『エージェントなんて…』といってたんですが、今は『それ、エージェントでやればいいじゃん!』に変わりました(笑)。
福原 エージェントも便利なんですって(笑)。ただ、ユーザの多くは、エージェントに拒否反応がありますよね、さんざん勧めておいて、今さらいうものも何ですけど(笑)。バージョンアップの不具合とか他のソフトウェアとの整合性とか、エージェントを管理しなければならないのが。パトロールクラリスは、マネージャから管理できるのがとても素晴らしいと思っています、お世辞抜きで。
露木 ありがとうございます。ロボシュタインは、お客さまのクラウドとオンプレミスの環境内にエージェントをインストールしてやり取りしますが、エージェントの管理も非常に楽なんです。
例えば、WindowsのPowerShell(システム管理者向けに設計されたコマンドラインシェル)を実行できる仕掛けにしているので、PowerShellでできることなら、基本的に何でもOKです。それに加えて、RPAのジョブをエージェントから起動したり、ログを見て正常に処理しているかを監視できるようになっています。「野良ロボット」の対策ができるのが、ロボシュタインの特徴でもあります。
五十島 先ほどから、『使いやすさ』や『簡単』というキーワードが繰り返されていましたが、御社はセミナーも積極的に開催されていますよね?やはり、現場のエンジニアさんも、使いやすさを求めているんでしょうか?
露木 そうですね。エンジニアといっても、シェルでスクリプトを書いたりする人ばかりではないので、オペレータに近い人には簡単な操作は魅力的に映るようです。そもそも、エンジニアにも大きく2種類いて、技術力を持った人は『自分にしかできないことをやりたい!』というのがモチベーションになっているんですよ。一方、『できる限り楽をして、残業せずに給料をもらいたい』人もいます。
ロボシュタインやパトロールクラリスに通じているのは、『日々の運用なんて、楽がいいに決まっているけれど、ここぞというところでは細かな設定や強力な機能が使える』という、オペレーターから現場のプロフェッショナルエンジニアまで、幅広いニーズに応えられるサービスだという点です。
事業会社としてのビジネス視点を提案できる強み
田嶋 弊社の強みは、事業会社だという点です。他社から購入すればいいサービスは買って来て、なければ自社開発するという柔軟なスタンスで、それがユーザのビジネスロジックに、どう繋がっているのかを常に意識しています。自動車ビジネスに喩えるなら、エンジンだけ売っているのではなく、移動というライフスタイルを提案しているような立場です。コンビニに行くのに、F1のエンジンは要りませんよね(笑)。
そもそも人材も減っている上に、働き方改革で効率を上げなければならないので、リソースの最適化は必然です。現場から上がってきたニーズを基に、部品化されたさまざまなサービスを用意し、それらを組み合わせて、お客さまのビジネスを成功に導くフローを作っています。
五十島 ユーザが集中したいのはビジネスであって、RPAの管理ではないですからね。
露木 そうなんです、RPAそのものは手間が掛かります。そもそも、日本の現場は、仕様が必ずしも明確になっていないまま進むことも多いんです。欧米のような、ジョブディスクリプションを明確にするスタイルになっていない。日本型RPAも同じで、よく分からない「匠の技」がそのままロボットで自動化されただけで、人が辞めたら中味がもう誰もわからない状態になってしまいます。
もちろん、RPA自体が悪いわけじゃないんですよ。とても優れた仕組みだと思います。効果的に使えば、という条件付きですが。ただ、メンテナンスを考えて導入しないと大変なことになりますよという警鐘なんですが、この話はなかなか通じる人が少なくて。
日本のRPAはもう終わってる!?
福原 その話、分かりすぎます(笑)。私も、セミナーなどで喋るときにはいつも、『RPAだけ入れて満足している場合じゃないでしょ!』っていってるんです。それは、カイゼンしないまま、無駄な業務を自動化しても仕方ない、と思ってるからなんです。
五十島 実は、根本的な機能の変更や改善を早くしないといけない状態なのに、中途半端にRPAを導入していたとしたら、結局…
露木 本当に解決すべき問題の先送りになって、意味がないんです。単に、ブラックボックスがより複雑になったり、より高速に機能するようになるだけ。「現場で新しいことをやってる!感」はありますが、危機感がありません。
RPAをユーザにお勧めする時、一番の競合は、他社のRPA製品ではなく、実はユーザさんの社内の開発部だったりするんですよ。『俺はコレで生きてきた!』『そんなツールに取って代わられるほど、俺たちの仕事はヤワじゃないぜ!』とプライドを持っているエンジニアたちに、無碍に反論はできません。現実に、RPAではできないこともいろいろありますから。
福原 その辺りは、なかなか難しいですよね。本質的には、働いている個々人のスキルを上げて生産性を高めていくはずが、目先の面倒臭さの回避に取って代わられるのはもったいない。成長のためには、過去を否定しなければならない面もあると思うんですが。
ロボシュタインの強みは、ビジュアライズ、つまり見える化できる点だと思うんですよ。まず、ブラックボックスを一旦、キレイに見える化し、廃止や統合も含めたフロー全体を改善するヒントを得るという。
露木 はい。使いやすいオリジナルのノードを作ったり、OEMでパートナー各社にOCRやAIと連携しやすいノードを開発してもらったり、『RPAの使い方を工夫したら、面白くなりそうだな』と思っていただける方には、好評ですね。保険や金融など、特定の業務は現状維持が大前提かもしれませんが、大部分の企業は、属人化・ブラックボックス化して誰も分からない「匠の技」の業務をなくしていく必要があります。過去の実績をに囚われず、新しい実績を作れるマインドというか。
そのためにも、今の業務をビジュアライズして、見直すべき業務フローそのものを見直すために、ロボシュタインを活用していただければ。
田嶋 開発した私たちが想像していた以上のメリットを、お客さまには感じていただいています。
露木 事業全体を俯瞰して業務フローそのものが見直すのであれば、RPAの意味はあると思います。パトロールロボコンも、初期費用と年間保守費用という、一般的なパッケージ型式で販売しているんですが、ソフトウェアのサブスクリプションとエンジニアである人のセットでも販売しています。人材不足に悩む企業にも好評なので、今後は、さらに力を入れていきたいと考えています。
RPAに絶望したエンジニアにこそ!
福原 そのあたりは、分かってる人は分かってるんですけどね。
田嶋 はい。RPAを統合管理する重要性については、リテラシーの高い人たちは強い関心を持ってくれてとても刺さるんですが、残念ながら、まだ少ないのが現状です。まだ、これからRPAを始めようかという企業さんも多くて、そこでは価格の違いぐらいしか見てもらえないのが残念で。
露木 企業の多くが、上層部から『RPAで業務を効率化せよ!』という指示を受けた結果、開発や運用に限らず、事務系にもRPAは導入されています。弊社もプレゼンすれば非常に強いんですが、カタログではお客さまに訴求し辛いのもネックなんですよ。現場の人に関心を持っていただいても、マネージャや役員以上のクラスからの理解が得られないと、なかなか。
田嶋 ロボシュタインにはまだ追加予定の機能もありますが、まずは本当に必要な機能を優先的にリリースしているので、現状でもご満足いただけているようです。お客さまからは、業務フローの過程でマニュアルを生成する機能を逆にご提案いただいたりもしています。
時代はもう、RPA 2.0というか、Beyond RPAですよね。「運用ナビ」の読者さんの中に、もし、『RPAをやってみてがっかりした』とか、『失敗した』、『ネガティブな印象しか持っていない』エンジニアや経営者の皆さんがいらっしゃれば、そういう皆さんこそ、ぜひ、弊社にご相談ください。
福原 いいですね!現状のRPAの矛盾に疲れてしまったベンダーの皆さんもぜひ(笑)。