増えるクラウドの管理方法:もう一度システム運用を考える(4)

システム運用エンジニアが管理しなければならない環境は、クラウドやコンテナ、仮想化などで複雑化・多様化する一方です。さらに、今年の初頭からのテレワーク(リモートワーク)の急速な拡がりに従って、利用する範囲を広げたり、導入に踏み切らざるを得なかったり、オンプレミスからクラウドに移行した組織も多いはずです。

システム運用の現場が陥りがちな状況を切り口に、課題と解決策を4回に渡って紹介してきましたが、最終回はクラウドサービスと、その運用管理のUIについて紹介します。

使われるクラウドの多様化は止めようがない

ITシステムのリソースをすべて自社で所有・管理するオンプレミスが中心だった時代から、昨今では必要な機能だけをクラウドサービスで使うスタイルにシフトしつつあります。総務省が発表した統計によれば、2017年の時点で、何らかの形でクラウドをすでに利用している企業は、対象組織のうち6割弱でした。また、不要と回答した組織も4割近くありましたが、2020年の統計は、これがプラスになることが予想されます。

総務省|平成30年版 情報通信白書|企業におけるクラウドサービスの利用動向
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd252140.html

クラウドサービスは、その目的や組み合わせによって特徴が異なるので、簡単におさらいしておきましょう。

まず、システム運用の現場でもなじみ深いAmazon Web Services(AWS)や、Google Cloud Platform(GCP)、Microsoft Azure(Azure)などは、パブリッククラウドと呼ばれます。各社が提供するリソースを手軽に利用でき、コストやスピード、機能のバランスなどでメリットがあります。

これらのクラウドにはそれぞれ特徴があります。例えば、ビジネスサービスにはAWS、機械学習はGCP、Microsoft製品との連携にはAzureなど、マルチクラウドとして、複数のサービスが使われることも珍しくありません。

一方、高度なセキュリティが要求される、中~大規模業務では、他者との共有を前提としないプライベートクラウドが使われます。カスタマイズや拡張など、自由度が高いのが特徴です。

さらに、パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせて使う、ハイブリッドクラウドというスタイルもあります。

そして、これらとは別に、もしくは連動する形でオンプレミスのシステムが動いている環境もあります。つまり、システム運用の現場エンジニアが管理しなければならないシステムが増えることは、数と種類、機能、人材などの点で大きな負担になっています。

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マルチクラウドの管理は、SaaSの専用サービスが最適

システム運用は元々、限られた人材で複数のシステムを効率的に管理するために、クラウドやリモートとも親和性が高い業務です。そのため、複数のクラウドも効率的に管理できる専用サービスが、各社からSaaS(サービスとしてのソフトウェア)として提供されています。

SaaSでは、ネットワークやハードウェア、OS、ミドルウェア(データベース)、アプリケーションなどがすべてクラウドで提供されています。オリジナルのアプリケーションをインストールしたり、機能をカスタマイズできる範囲が制限されている反面、利用できるまでのスピードも速く、自社で使っているデバイスやOSを気にする必要がありません。ビジネスのスケールに合わせて、使いたい機能を選んでコストも抑えられます。

  • クラウドサービスごとに違う管理ツールの代わりに、まとめて管理可能
  • 導入から運用開始までの時間が短く、すぐに実践投入OK
  • サービスによって24時間・自動化できるので、人為的ミスを回避できる
  • システム運用の作業手順全体が簡素化できるため、手順書もシンプルに
  • 単価が高い優秀なエンジニア以外でも、少人数で対応できる
  • 運用管理部門の人件費・固定費を圧縮してコストも抑えられる

管理が面倒なマルチクラウドを、まとめてシステム運用するには?
https://un4navi.com/efficiency/19050/

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例えば、UOMという統合型のソリューション

クラウドの普及と多様化がさらに進めば、当然、運用しなければならない環境は複雑になります。まず、それぞれの環境から発生したアラートを管理する必要がありますが、ツールも個別です。オペレーション方法の違いにる学習コストの増加も無視できません。また、クラウドベンダーごとに問い合わせ窓口も違うので、処理が煩雑です。一つひとつはちょっとしたタスクですが、これが積み重なることで、エンジニアには大きな負担になります。

だったら、システム運用もクラウドに対応するのは必然。そこで、マルチクラウドからオンプレミスまで幅広く対応した、UOMのようなSaaS型の統合運用管理サービスを使うと、現場の負担は一気に軽くなります。

例えば、統合管理されたWebインタフェースで、監視システムからのアラート自動通知も、メールや電話、SNSのメッセージなど、自分の都合に合わせて簡単に設定できます。Amazon CloudWatchのような、専用サービスとも連携可能。

別々の環境から発生したアラートも、チケット管理システムで一括管理できるので、担当者の割り当てやステータスの変更など、スムーズに処理できます。また、AzureやAWS、GCPなど、サービスが複数混在していても、サポート窓口が一元化できるのは、毎日、限られた人数で対応に追われる現場にとっては、何より心強いはずです。

攻めと守り、両面から改善できるシステム運用

無駄なアラートはフィルタで切り分け、手順を最適化するために自動処理を使い、限られた人材でマルチクラウドにも対応する。現場のエンジニアを疲れさせないためのヒントが、少しでも見つかったなら幸いです。

システム運用という業務にとっては、新型コロナウイルスの影響が続くとはいえ、システムを安定して稼働させることで、ビジネスを維持しなければならない「守り」の姿勢が必要なことは変わりありません。その一方、この未曽有の事態に対して、非効率なワークフローを見直して先手を打つ「攻め」の意識も重要となっています。

これは、単に現場のエンジニア個人を救うばかりでなく、組織のビジネスの発展には不可欠です。ただし、このことは、急にニーズが出てきたのではなく、元々、改善しなければならなかった重要な課題が、たまたまパンデミックをきっかけとして明らかになっただけです。市民生活が新しい日常に適応しなければならないように、システム運用の現場も、先を見据えたスタイルへと柔軟に対応していきましょう。

マルチクラウド時代のSaaS、PaaS、IaaSを改めて復習しよう
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