ITILの中心的プロセス、構成管理って?ITILの基本(2)

ITILの中心的プロセス、構成管理って?ITILの基本(2)

ITILに関する前回のエントリーでは、サービス運用や管理の事例集としての概要に触れました。今回は、ITILの中でも中心的なプロセスである「構成管理(サービス資産管理)」を見てみましょう。構成管理を導入することで、ITサービスを効果的・安定的に提供するのに必要なさまざまなリソースを、最新の状態に保つことができます。それが、結果としてシステム運用を楽にしてくれます。

サービス運用や管理の事例集 ITILについて知ろう:ITILの基本(1)

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各ITリソースは、構成アイテム(CI)として管理

構成管理の対象となるリソースの例は、以下の通りです。これらは「構成アイテム(CI : Configuration Item)」と呼ばれます。ハードウェアやネットワーク、PCなどの物理資産と、ソフトウェアや接続構成などの論理資産があります。

  • ハードウェア
  • ソフトウェア
  • 契約書
  • 仕様書、設計書
  • 証明書
  • ライセンス
  • SLA
  • 運用定義書、など

一つ注意しておきたいのは、会社の備品などの「資産管理」と、構成管理の管理は管理方法が違う点です。減価償却など、経理上の処理に必要な資産管理の場合、すべてのIT資産は個別に識別して管理されます。
これに対して構成管理では、サービスの最適化のために、構成アイテム(CI)ごとで管理されます。

・資産管理

すべて個別に識別して管理
例)セットで使うモニタも含め、全く同じ構成でも、PCが5台あったら、それぞれに資産管理番号が必要

・構成管理

構成アイテム(CI)ごとで管理
例)セットで使うモニタも含め、全く同じ構成のPCが5台あるなら、1つの構成アイテム(CI)で管理可能

構成アイテムごとに細かな属性も

各CIは、属性と呼ばれる細かな情報で管理されます。構成管理では、個別のCIだけでなく、関連文書(契約書や機密保持契約書)やリレーション情報(他のCIとの関係性)も含めて管理される点が特徴的です。

◯共通管理項目

管理番号/製品種別/セット番号/ライセンス管理番号/登録日/購入部門/購入日/設置場所/ベンダーIDなど

◯ベンダー管理項目

ベンダーID/担当部門/担当者名/サポートIDなど

◯ハードウェア管理項目

ハードウェア管理番号/機種名/型番/製造番号など
コンピュータ:CPU/メモリ/ハードディスクなど
ストレージ:ドライブ数/総容量/インターフェイスなど
ディスプレイ:サイズ/解像度/インターフェイスなど
ネットワーク:MACアドレス/インターフェイスなど

◯ソフトウェア管理項目

ソフトウェア管理番号/ソフトウェア名/バージョン/サービスパックなど

◯契約管理項目

契約管理番号/契約番号/契約締結日など

CIは構成管理データベース CMDB で管理

これらの、サービスを構成するさまざまな要素は、構成管理データベース(CMDB : Configuration Management Database)を作って管理することになります。
CMBCでは、必要なCI情報をすべて管理します。契約書や手順書、障害が発生したときの緊急連絡先など、サービスの運用管理に必要な内容を網羅しますが、運用するシステムの内容や構造に応じて、構成する必要があります。
システム運用担当者にとっての管理方法としては、インシデント管理や問題管理のときに、過去に変更されたCIをチェックすることで、ピンポイントで原因を把握することに役立ちます。また、予めライセンスや証明書など定期的に更新が必要な資産と、ハードウェアや仕様書など更新頻度が比較的低い資産とを分けておくと、システム運用担当者の通常業務の中での負荷が把握できるので、管理も楽です。

構成管理の主な流れ

では、どのような手順で構成管理を進めればいいでしょうか?
まず、構成管理の目的や方針を決めます。次に、CIをレベル分けし、命名規則や属性などを決めて、CMDBに登録します。CMDBの内容は、常に最新の状態になるように管理します。また、「開発中」「承認待ち」「稼働中」など、CIのステータスをアップデート。そして、CMDBの情報が正しく記録されているか、定期的に検証を繰り返します。

  1. 計画の立案
  2. 構成の識別
  3. 構成コントロールの説明
  4. ステータスの説明
  5. 検証と報告

なお、構成管理が有効に機能しているかは、「重要業績評価指標(KPI : Key Performance Indicators)」で測ります。以下のようなチェック項目で、サービスに対して構成管理がどのように貢献しているか判断します。

  • 使われていないか、使用頻度が低いデバイス
  • 許可されていないまたはライセンスが切れているソフトウェア
  • CMDBの誤表記で起きたトラブル、など

できる範囲からCIを管理してみよう!

ITILほどの、細かく具体的なIT資産管理はしていないとか、管理していたもののしばらくアップデートができていない場合でも、今からできる範囲のCIの整理から手をつけてみませんか?ライフサイクルを意識して、ITサービスを安定して提供するための資産を管理することは、コストやコンプライアンス面などにもプラスに働きます。IT資産を「棚卸し」して情報整理してみることで、システム運用管理にとって全体的な効果が得られるはずです。

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