サービス運用や管理の事例集 ITILについて知ろう(1)

「ITIL(アイティル)」という言葉を耳にしたことはありますか?ITILは、サービス運用や管理の事例集です。ITシステム運用にはもちろん、ITに直接関係しない仕事にも大変役に立つ理論です。即効性がある技術などではなく、やや概念的な面もありますが、根本的な考え方には広い汎用性があります。初めて見聞きする人にはもちろん、さらりとスルーしていた人にも、改めて知っておくことをお勧めします。

ITILとは、サービス運用や管理の事例集

ITIL(Information Technology Infrastructure Library)とは、ITサービス管理を効率化することで、個人や組織がビジネスを変革や成長させるために、IT利用を支援する例を集めた、具体的な事例集(ベストプラクティス)です。1980年代のイギリスで、政府主導で当時のプロフェッショナルたちを集めて作られ、先進企業の手法を徹底的にヒアリングして体系化されました。
現在ではITサービスの共通ルールとして世界中に広がり、NASAやDisney、Microsoftなど、世界中の企業や公共機関のシステム運用の現場で使われています。今も改良が続けられ、2019年2月末には、8年ぶりの更新で最新バージョン「ITIL 4」がリリースされています。

ITIL | IT Service Management | ITSM | AXELOS
https://www.axelos.com/best-practice-solutions/itil

ITILはライブラリと名乗る通り、ITサービスの運用や管理の事例集です。ビジネスの目的を達成するために、必要な労力と十分な品質、適切なコストのバランスを取りながら、運用・管理していくためのガイドブックです。罰則があるようなルールブックではないので、自分の組織やチームに合う部分だけ取り入れながら、改善を繰り返していくことができます。

ITILの5つのフェーズ

ITILは、5つのフェーズ(領域)が書籍で分類されています。これらは、一つの繋がったサイクルとして連動して作用します。まず、ここから見てみましょう。

  1. サービス戦略
  2. サービスデザイン
  3. サービス移行
  4. サービス運用
  5. 継続的なサービスの改善

1.サービス戦略

サービス全体の方針やビジョン、目標、要求を明確化して、それを達成するために必要な戦略を作ります。サービスが提供する価値や、ビジネスを展開するマーケットや需要分析、必要な資源予算や人などのリソース確保、ROI(費用対効果)、優先順位、コスト管理など、事業の目標とITサービスとの関係性を、さまざまな角度から検証して、戦略に練り上げていきます。

2.サービスデザイン

業務内容に沿って、ITサービスを設計していきます。サービスの具体的な内容を設計する上では、機能や品質、コストバランスなど、「サービス戦略」を実現できるような整合性が取れているかを、常にチェックする必要があります。この「サービスデザイン」には、デザイン調整やサービスカタログ管理、リスク管理などが含まれます。また、この段階で、後述する「サービス運用」が考慮されている必要があります。

3.サービス移行

「サービスデザイン」で設計したサービスを、実際に開発・運営していきます。新規開発だけでなく、現在運用しているサービスから新しいサービスへのスムーズな移行も重要です。変更でビジネスに生じるダメージを最小限にとどめ、スムーズに移行を進めていくことが不可欠です。移行計画を立案し、必要なリソースの調達、進捗や品質管理、円滑に運用するためのテストや評価をします。運営準備に必要な教育なども含みます。

4.サービス運用

実際の業務の運営、ITサービスの運用に深く関係しているのが、まさにこの部分です。顧客やユーザの満足を損なわないように、サービスの継続を阻害する問題や課題があれば解決し、「サービスデザイン」で設計した基準や内容に沿って運用していきます。ここは、さらに深掘りできるので、続きはまた別のエントリで。

5.継続的なサービスの改善

ITサービスを運営している状況や効果測定、課題の改善などを整理します。顧客の目標は達成できているのか、ユーザはサービスの価値に満足しているのか、サプライヤにとっての隠れたリスクはないのか。PDCAサイクルを回して常に改善に取り組んでいくことで、チームのパフォーマンスを維持し、さらにサービス品質を高めていきます。

 

システム運用を取り巻く、サービス全体のマネジメントに役立つ考え方

ITILは、IT以外の一般的な仕事にも適用できる、運営管理全般のフレームワーク(枠組み、構造)として機能します。実際に、営業や人事、経理など、さまざまな職種や業種に導入され、仕事のプロセスや管理の改善に役立つ事例も増えています。そういうことなら、組織の規模に関係なく、システム運用の現場でも、できるところから積極的に取り入れていくことを、検討しない手はありません。
ビジネスが安定して継続的に成果を出すために、必要なシステムを開発し、一定の品質を保ち続けるために、費用や人材を最適化していく。ITILは、サービス全体のマネジメント方法論だといえます。

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