初めて運用に配属されたエンジニアが知っておくべきマインド

春は、異動や転職、就職のシーズン。新卒者はもちろん、他の部署や職場からの異動や転職組の中にも、システム運用が初めての人がいるでしょう。『システム開発の最前線へ行きたかったのに、地味な運用に配属されてしまった…』。近頃の言い方だと「配属ガチャ」ですが、ショックで落ち込んだり転職サイトに登録する前に、知っておくことがあります。実は、システム運用の現場を経験しておくことは、ITシステムを知る基礎としてアドバンテージになります!この機会に『エンジニアとして何を得るか?』を、冷静かつ賢く考える上でのマインドとヒントを紹介します。

全体を俯瞰するスキルが身につく、システム運用という仕事

システム運用は、大きく運用と保守として説明できますが、両者は深く関係しているので兼務されていることも一般的です。
まず、運用とは、想定外のトラブルや不具合でシステムを停止させることなく、安定的に稼働させ続けることです。特に、最初に配属されることが多いのが監視。ネットワーク経由でサーバの死活を確認したり、周辺ハードウェア、CPUやメモリなどのリソース、トラフィック、プロセスなど、システムが正常に機能しているかを監視します。
一方、保守とは、運用に支障がないように予防措置を講じたり、起きた故障やトラブルが原因でシステムが停止してしまった時に、復旧やプログラムを改修することです。運用と大きく違うのは、必要なら「システムを改修、調整したり、修理する」ことです。

対象となるシステムは、組織や勤務先、業種、規模などで異なります。例えば、主要業務システムの受発注管理や商品管理、ECサイト、リアル店舗、配送管理、Webサイトなど多岐にわたります。システムも自社開発や外部サービス、API連携などがあれば、サーバもオンプレミスやマルチ/ハイブリッドクラウドなど、さまざまです。これらの、社内外の多様で複雑なシステムを安定稼働させるために、システム運用エンジニアは、どの部署よりも全体を理解しておく必要があるのです。詳しくは、過去記事も合わせてお読みください。

コレって我が社だけ!?システム「運用」と「保守」ってどう違う? | 運用ナビ
https://un4navi.com/prologue/19001/

システム運用の一部である監視とは?具体的に何を監視すべきか? | 運用ナビ
https://un4navi.com/management/19045/

マニュアルは『曖昧な記載や実情との差異を探しながら』確認を

システム運用の基本は、規定の手順に従って確実に処理を実行することです。まずは、指示されたところを中心にマニュアルを丁寧にチェックしていきましょう。個人の判断が必要ないルーティーンとして整備されているので、何はどこを参照すればいいかをある程度把握すればOKです。とはいえ、有事に機敏に対応するには、平時の訓練が不可欠です。

チェックする時のポイントは、『曖昧な記載や実情との差異を探しながら』確認すること。研修制度が充実していれば安心ですが、コロナ禍でOJTがやりづらいという現場の声も聞きます。知らないことや重要な部分、確認すべき点を中心に、自分専用の教科書として再編集する意識で読み込みましょう。また、マニュアルが作られた当時とは整合性が取れていない仕様や、コロナ禍で更新や作成が追いついていない箇所の発見も、新人の重要な役割です。

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「鉄板スキル」としての、ローコンテクストな意思疎通

IT技術のトレンドは変化のスピードが速く、何が生き残るか見当がつきません。ただ、一つハッキリいえることは、客先に常駐しようが、リモートで作業しようが、ヒューマンスキルが重要なこと。特に、システム運用ほど、コミュニケーションが求められるIT職もありません。顧客からのヘルプやクレーム対応、UXに関する要望など、ユーザと接する機会が多数あります。社会人としてある程度経験を積んでから学習し直すのが、非常に難しいスキルでもあります。
特に重視されるのが、ローコンテクスト(低い文脈)な意思疎通と言語化です。均質化した文化的背景を持つ日本は元々、ハイコンテクスト―つまり「察する」「空気を読む」ことを強いられがちです。しかし、働き方や人材が多様化し、リモート化も進んだ今、誤解によるストレスを減らして相手と意思疎通できる重要度は増しています。

X 例の提案資料ですが、来週はどうすればいいですか?
○ XX社への提案資料ですが、XX日(月)に確認をお願いできますか?

他の部署との関係や温度差も、自分事として観察

ただ、ここで大きな問題なのが、開発との関係です。本来なら、開発との連携は不可欠なはずが、情報がスムーズに共有されないことがあります。例えば、システムで重要な部分はプロパーの社員しか知らないブラックボックス化され、開発で実装しきれない仕様を運用で回避しなければならない、といったのは通常運転。酷い現場になると、意図的に開発の進捗を隠されることすら!

近年、DevOpsの重要性が熱く語られています。上流の開発から下流の運用、保守までを一気通貫で捉えることで、効率化・高速化を実現する概念です。しかし、現場にはそれぞれの事情があり、理想通りにはいかない悲鳴や落胆も耳にします。もちろんこれは、プロジェクトマネージャやリーダーの課題です。

経験の浅い一人のエンジニアができることは、オープンマインドは常に意識しつつ、ヘルプは早めに出し、責任の所在を明確にしておくこと。皮肉めいていますが、負荷が高くなりがちな箇所や連携のネックになる可能性がある部分を察知し、障害の回避と正確な問題の把握、具体策の検討へと繋げるのは、システム運用そのものです。仕事ができる人がどのような考え方やケアをしているのか?開発のニーズはどこまで言語化されているか?スムーズに進めるには誰を説得すべきか?常に自分事としてイメージしましょう。

SREって大規模な組織の話?開発と運用をチームにするメリットとは? | 運用ナビ
https://un4navi.com/automation/19016/

もし、システム運用が自動化できている現場なら

365日24時間のシフト勤務。オペレーター業務という、エンジニアとしてのスキル面の不安。職場環境や給与体系が合わず、少ない人数というプレッシャー。システム運用に対するネガティブなイメージは、この時期定番のお悩み相談ネタですが、実は組織の課題であることが多いのもまた事実です。

というのも、システム運用に特化した専用サービスがあるからです。基本的なインシデントの処理はサービスに任せ、人間でなければ判断が難しいところに人的リソースを集中させなければ、複雑化・多様化した現代のシステムには対応できません。もし、配属された情報システム部で、仕事の大半または一部が自動化されていれば、未来は結構明るい(?)かもしれません。

エンジニアとしての自分のキャリアで、どう位置づけるか?

一般に、システム運用の仕事は、3年目までが一つの目安だともいわれます。開発と運用では、エンジニアに求められるスキルは違いますが、将来、開発に異動・転職した場合でも、エンドユーザの反応をダイレクトに得た体験は必ず役立ちます。

一方で、システム運用の仕事を続けていく中で、顧客とコミュニケーションを取りながら、要件を詰め、課題を洗い出せるようになれば、現場のリーダーやマネージャ職、上流工程から関与して運用設計ができる立場にもなれます。そうすれば、「攻めの運用」として、付加価値を創造していく面白さにも気付くでしょう。

自分の未来をどう描く?システム運用担当者のキャリアパスとは? | 運用ナビ
https://un4navi.com/management/19030/

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