在宅でテレワークするシステム運用エンジニアが気をつけるポイント

コロナ禍でもシステム運用を止めるわけにはいきません。そのため、この一年は、運用エンジニアも在宅勤務でシステム運用業務に携わる機会が増えました。ただ、テレワークで仕事をする一般の会社員と違い、在宅勤務でシステム運用をするには、さらにいくつかの注意点があります。今回は、今の時代や働き方を踏まえ、在宅勤務に切り替わったシステム運用エンジニアが特に何に気をつけるべきか解説します。

運用・保守のためだけに出勤するのは避ける時代

この一年は、テレワークが推奨されていたとはいえ、運用や保守のために仕方なく出勤していた人も多かったはずです。実際、まだ在宅での運用業務や就業体系が確立されていないために、出勤するしかない組織も多くみられました。
また、企業によっては在宅勤務を中心とする一方、部分的に出社を求めているケースも見受けられます。「ハイブリッド」と言えるようなワークスタイルで、最低限の出社で運用や保守の業務が回る体制づくりが、現在も進められています。
ただ、ハイブリッドなワークスタイルが多いものの、一部の企業ではフルリモートが導入されるようになってきています。まだ企業数は限られているものの、これからのシステム運用は、フルリモートが主流になっていくだろうと考えられます。

自動化できるものは自動化してしまおう

では、在宅勤務で働く運用エンジニアの理想的な姿は、どのようなものでしょうか?理想的な形と運用エンジニアの注意点を考えてみましょう。真っ先に思い描くのは、徹底した自動化・省力化です。
身も蓋もないことかもしれませんが、自動化できる運用は自動化するべきです。例えば人間がインシデントをキャッチするのではなく、インシデントのキャッチから対応までを自動化してしまうのが確実です。ただ、実際の現場を見ていると、ここまで自動化できている企業は限られています。
しかし、システム運用の人材不足は、コロナ禍でさらに加速しています。そのような背景もあり、システム運用の自動化が実装されたSaaSやクラウドサービスに興味を持つ企業が、確実に増えてきています。このような傾向を踏まえると、今後はシステム運用の自動化がさらに進むと考えられます。
ただ、「オンプレミスで作り込まれた複雑なシステム構成と運用」「経営層が自動化に対する懸念を思い直してくれない」などの事情から、現実には、まだ自動化ができない企業が多い状況です。そのような場合は、エンジニアがツールなどの力を借りながら手動で対応しなければなりません。ただし、その手数をできるだけ減らし続けることは、常に意識しておく必要があります。

VPN(と、家庭内環境)の安定は不可欠

急拡大したテレワークのボトルネックの一つだったのが、VPNです。システム運用の現場でもVPNが利用されているケースが多く、接続の安定性と速度は、ストレスのない運用業務に不可欠です。
まず、安定して常に接続できる環境を整えましょう。VPNが不安定だと何度も切れてしまい、何度も認証画面が表示されてしまったり、操作中のシステムとの通信が途絶えてしまいます。システム運用業務の効率が悪くなってしまい、在宅のエンジニアや他の部署からクレームが出てしまいます。
また、通信速度にも注意しましょう。具体的にどのような速度が最適かは、環境によって変わりますが、業務に差し支えのない速度を維持するように務めましょう。実際、在宅勤務でシステム運用業務を担当している企業からは、『VPNが非常に重くて仕事にならない』との声をよく耳にします。通信速度は業務のしやすさだけでなく、人のコミュニケーションも左右します。もちろん、家族が同時にネットワークを使う状況を可能な限り避ける、地道な家庭内調整も必要です。
なお、VPNの安定性はサーバの設定や利用している通信回線など、さまざまな要素が関係します。特に、回線など物理的な問題の場合は、運用エンジニアだけでは対応できないので、組織全体としてサポートすることが求められます。

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人材の働き方ごとの、適切な情報管理が重要

ネットワークと同様に、在宅でシステム運用しても問題ないのか、社内のセキュリティルールなどの見直しも必要です。今まで会社の中でやっていた業務を、黙って単純に在宅勤務に切り替えてもいいとは限りません(というより、普通はNG!)。
特に、運用業務は社員ではなくベンダーに出社して対応してもらっているケースも多いはず。このような場合は、特に注意が必要です。ベンダーには社員以上に細かな制約があるので、今の権限でテレワークを許可しても問題がないか、十分に検討する必要があります。運用のルールはもちろん、それ以前に運用に必要なパソコンの持ち出しに関するルールなどから見直しが必要です。
その場合は、必ず社内の担当者を中心として検討しましょう。守秘義務や就業規則、所属先への報告など、場合によっては多くのルールを見直す必要があるので、ルール違反にならないように抜け漏れなく見直しを進めることが重要です。

ワークフローも、アップデートして明確化

在宅勤務においてもワークフローの明確化を意識しましょう。明確なワークフローがなければ、出社して対面で作業する以上に、スムーズに業務を進められません。特に障害が発生した時は、従来通り、状況が適切か判断しなければなりませんが、在宅勤務をしている場合は、なかなか電話がつながらず、判断が後手後手になるケースが見受けられます。障害の内容によっては、通話が重なった不運なタイミングが、業務に大きな影響を与えるのは想像に難くありません。
このようなケースで考えておくべき重要な対策は、「代理人を含めたワークフローを定義しておくこと」です。実際、上記のようなケースでは、自分が対応できなくても、チーム内の別のメンバーを決めていればスムーズに業務が進められる可能性が高いのです。代理人を決めておけば、特定の人に役割が集中して、在宅勤務する運用エンジニアが待機させられてしまうことを避けられます。
ワークフローを決める重要性なら、認識している企業は多いでしょう。システム運用エンジニアが在宅勤務する時は、それに加えて、代理人を決めておく重要性も認識しておきましょう。

ワークプレイスが分散化する以上、効率化は必須!

これからは、ワークプレイスの分散化がさらに進むと考えられます。現在でも出社と在宅勤務に分かれていますが、これからは在宅勤務のテレワークを中心として分散するのが当たり前になるでしょう。今までのようなやり方では、システム運用エンジニアがストレスを抱えることになりかねません。そのため、業務の効率化は必須です。
効率化に最も役立つのは、システム運用の自動化です。とはいえ、いきなりすべての自動化を目指す必要はなく、まずは、専用サービスの導入など、今現場にいる人材が効率よく働ける環境づくりから進めましょう。

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