Azure/GCP/AWSの各クラウドとニーズ:現場のプロに聞いてみた(3)

スピーディな開発でクラウドを便利に:現場のプロに聞いてみた(4)

技術の現場で働くプロへのインタビュー。今回は、クラウド関連のお仕事を広く担当しているKさんに、現状についてお話を伺いました。

クラウド各社の仕様変更と、ユーザニーズの変化

―クラウドといえば、8月後半のAWS(Amazon Web Services)の大規模障害が記憶に新しいですね。

K そうですね。ネット上でも大きな話題になって、しばらく後を引きました。

AWS大障害の陰に油断、ユーザーが陥った2つの過信 | 日経 xTECH(クロステック)
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00138/090300365/

―とはいえ、クラウドのニーズは今後も増え続けますよね?

K はい。今までオフィスの内部にあった環境がどんどん外へ出て行く中で、Azure(Microsoft Azure)やGoogle Cloud Platform(GCP)、Amazon Web Services(AWS)など、主要クラウドサービスのどれかを使うお客さんは増えています。
今の仕事では、Azure、GCP、AWS、Office 365をはじめとして、クラウド周りを幅広くいろいろ扱っています。サービスをそのまま販売するだけでなく、プロキシの負荷やセッションの増大といった、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)ならではの問題を回避するサービスを開発し、ユーザに提供しています。

―複数のクラウドサービスを使うユーザも多いんですか?

K はい。Azure、GCP、AWSには、それぞれのバックグラウンドや特徴があって、強いところ・弱いところがあります。強いところだけをいいとこ取りして、サービス提供する企業も徐々に出てきています。僕らも、各サービスの特徴を活かしつつ、お客さんのビジネスに最適な組み合わせや連携を提案し、販売しています。

―使われ方でいうと、何か傾向とか特徴はありますか?

K IaaS(インフラとしてのサービス)として使っているお客さんは、今も圧倒的に多いです。IaaSは、OSレベルまでしか提供しないので、オンプレミスで開発してきたそのままの感覚で、SIerに仕事を依頼しています。
対して、PaaS(プラットフォームとしてのサービス)だと、アプリケーションだけ入れればすぐに使えるので、『お客さんが、自分たち自身でできることが増える』ことになります。

―実際、『SIerに依頼する部分が微妙…』という声は、あちこちで聞きますね。

K そうなんです。今までは、インフラのSIerはシステムのインテグレーションを販売してきたんですが、今後はその上で動くものが中心になってくるので、インフラSIerの仕事は減っていくんです。
また、Azure、GCP、AWSなどの、メジャーなクラウドサービスの上でインテグレーションを提供するのは、他社でもできることなので、そこでは付加価値を出し辛い。当然、販売も同じように差別化が難しくなります。

―ネットワーク自体の優劣よりも、そこに高い付加価値を持つコンテンツがないと、単なる「土管」という喩えと同じですか。

K 残念ながら、そういう面はあります。他社のクラウドサービスは、弊社では手を加えられないので、追従していくのも大変です。都合よく振り回されている感は、無きにしも…(笑)。
ただ、クラウドサービス自体には手を加えられなくても、そこに合わせてユーザに提供できる付加価値はあります。ただ売るだけではなく、価値のある何を組み合わせるのかを真剣に考え続けています。

―振り回されるというと、急に仕様が変わったり、とかですか?

K そうなんです。事前の予告なくいきなり変わってしまう以外にも、予告はあってもギリギリだったり、公式ブログだったり、担当者から教えてもらったり。情報ソースやタイミングがバラバラなので、最新情報をキャッチアップしていくのが、結構大変です。
例えば、『Office 365のURLやIPアドレスが変わったことに気付かなかったために、設定を変更せずにユーザの通信がファイヤウォールでドロップされてしまった』というお客さまもいらっしゃいました。これでは、サービス利用しているユーザだけでなく、社内の情報システム部も困りますよね。僕らも、対応を完了するまでの時間的猶予が短いので困るんですが。
そのOffice 365も、最近はようやく情報を出してくれるようにはなりました。わざわざWebページを見に行かなければならなかったのが、APIで取れるようになったり、徐々に改善されてきてはいます。ただ、他のメジャーなSaaSだと、未だに何も詳細を教えてくれないところが多くて、『こういうFQDN(完全修飾ドメイン名)を許可してください』とかだけ。件数が少ないとはいえ、それらをいちいち確認して設定しなければならないので、日々の業務としては苦労といえば苦労ですね。

―何だか、開発も結構大変そうですね。

K はい。自分たちで計画を立てても、その通りに進むことはないですし、変更に時間を掛け過ぎると、他社にビジネスチャンスを奪われてしまいます。コロコロ仕様が変わっていくサービスについていくには、旧来のウォーターフォール型の開発では無理です。
そのためにも、クラウドサービスに積極的に携わり続けることが不可欠です。クラウド上でPaaSなどを使って、実際に開発してみないと、仕様のどこがどのように変わったのか、何がよくて何がダメなのか感触がよくわかりません。サービス提供者として積極的に関わり続けていかないと、お客さんが、変化や障害から受けるダメージを限りなく少なく抑えることはできませんから。
しかも、スピーディに対応するには、ある意味「出たとこ勝負」で、次々にサービスをリリースしていかなければ、とてもキャッチアップはできないですね。クラウド各社に振り回される中でも、『ユーザに、クラウドサービスをより快適に使ってもらうにはどうしたらいいか?』と、できることを探しています。

 

クラウド業界のビッグ3に翻弄されつつも、常にベストを尽くそうとする姿勢に、いつしか目頭から熱いものが…。一旦、ブレイクを入れて、熱い話は次へと続きます。

IIJクラウドプロキシサービス
https://www.iij.ad.jp/biz/cloud-proxy/

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