コロナ時代のシステム運用ですべきこと!仕事の環境を振り返る
さまざまな業種が新型コロナウイルスに翻弄されたこの一年。御社や、あなたのチームの状況はどうでしょうか?緊急時を何とか乗り切れたとしても、問題はこれから。中途半端な状態が「別の意味のニューノーマル」として定着してしまうことを避けるには、現場で誰か特定の人が対応しなければいけなかった仕事を、「リモートでも」「別の人、または人でなくても」処理できる仕組みに整える必要があります。年度末に、振り返りながら考えてみましょう。
誰もが「BBCパパ」を笑えなくなってしまった
今からちょうど4年前の2017年3月、ソーシャルメディアで大きな話題になった、ビデオを覚えていますか?新型コロナウイルスには関係ありませんでしたが、BBCの生放送番組に出演中に、自宅の書斎に幼い子供たちが入ってきた大学教授のビデオは、「面白ネタ」的な扱いで全世界にバズりました。そして今では、誰もあの教授を笑えなくなってしまいました。
内閣府の調査では、2020年3月以降でテレワークの普及が大きな伸びを示している一方、地域や業種、企業規模によってかなりのばらつきがあります。
多くの社員や拠点を抱える大手企業では元々、働き方改革やワークスタイルの多様化・柔軟化もあり、フレックスタイムやシフト制、テレワークの体制はある程度進んでいました。そのため、早い企業では、未知のウイルスの日本国内での影響が懸念され始めた2月中旬から、それまでのリモートの仕組みをさらに整えたり、範囲を拡大する動きがありました。世界的にも「WFH(Work from Home)」というキーワードが検索で急上昇しました。
一方、国内各地で感染が広がり始めた3月下旬以降になると、中小企業も含め多くの組織が、原則として在宅勤務に切り替えたり、出社する社員の制限がスタート。リソースやノウハウも限られている各地の現場では、対応に苦慮する様子が報じられていました。
出典:令和2年度 年次経済財政報告-内閣府
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je20/h07_hz020104.html
コミュニケーションの難しさは、テレワーク最大の課題
業種や規模に関係なく、テレワークが非常に難しいのは、人とのコミュニケーションが非常に取りづらい点です。必要な議題や時間が決まっているビデオ会議だけだと、ちょっとしたニュアンスを共有したり雑談の余裕が生まれない。かといって、チャットやメッセージ、電話でも、補完が難しい。どうしても対面で対応しなければならない業務もあり、オフラインとオンラインをシームレスにつなぐことはなかなか難しいのです。距離の制約から解放された分、無駄な会議にまで招集されるのも、残念ながらよくある話です。
また、当初は普段対面で仕事をしていたチームや関係者とのやり取りが中心でした。それが徐々に、初対面の相手とのやり取りが増えてきた中で、意思疎通と合意形成がさらに重要になりました。ビデオ会議は、常に画面に自分の表情が晒され他者と等しく並べられることで、対面の会議とは違うストレスが溜まるもの。『画面越しに顔を見せて声を出し合っておけば、意思疎通できた』と誤解するには、ある意味最適な(?)ツールでもあります。一日中、常に何かの会議で予定が埋まってしまえば、自分の仕事に集中する十分な時間が確保できません。
セミナーやカンファレンスもオンラインにシフトし、従来のノウハウが必ずしも通用しません。転職や就活の面接の場でもビデオ会議が広がっていますが、リアルタイムではなく、録画済みのビデオをアップロードする形も増えていて、さらに意思疎通のハードルもアップ。特に、未経験者や経験が浅い人はオンラインだけではOJTによる十分な教育ができず、人材不足の中で担当者は苦労しています。
これらの要因のため、テレワークで必ずしも期待したほどのパフォーマンスが上がっているとはいえないようです。
上手くいかないリモート会議を成功させる7つのヒント!
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実際、家で仕事できている?結局できていない?
別の問題もあります。家族がいる環境ではどうしても仕事に集中しづらいのは当たり前。家族も同じ空間に長時間いることで、お互いにストレスが溜まってしまいます。家族がそれぞれがリモートで仕事や勉強をしている例も珍しくなく、『テレワークと、テレワーク+家族とでは、まったくの別物!』ということも認識されてきました。
時間と体力、コストを奪う通勤にしても、仕事と生活をリセットしたり、読書や睡眠のブレイクになっていた人には、なくなることもデメリットに。また、都市部の立派なビルに勤務していたり、他者と対面で交流すること自体がモチベーションになっていたという人にも、賛同の声が上がりました。
必要に迫られてやってみたテレワーク!見えた課題と対策
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人事や働き方の面でも、例えば、単身赴任の一時停止や通勤定期の手当廃止など、制度の見直しも必要でした。働き方改革やワークライフバランスに関する取り組みが並行していた組織も、変更が必要になりました。社内でフリーアドレスを導入していた組織も、感染状況をトレースするために一時停止。リモート化でさらに個人の管理が厳しくなった一方、遠隔にいる社員の活動評価や成果を把握することが非常に難しいとも聞かれます。
影響が深刻で、回復が見込めない業界や業種、組織では、事業の縮小や廃止という状況に。離職者が増えれば社内の雰囲気も暗く、残った人材のマインドも下向きになり、コミュニケーション不全に拍車が掛かるという悪循環を辿ります。
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ポジティブな変化を、次のビジネスチャンスにつなげていくには?
ただ、ワークスタイルのシフトは、悪いことばかりではありませんでした。
まず、通勤が減って時間に余裕が生まれたことは、都市生活者には大きな変化です。家族と一緒に過ごせる時間も増えました。危機を一緒に乗り越える機運が高まり、チームの一体感が強くなった一方で、子育てやペット、介護など、一人ひとりの生活が垣間見えることで、仲間を思いやる雰囲気も生まれました。個々のメンバーが、マネージャーやエンジニアである前に、一人の親であり、家族の一員である当たり前のことに改めて気付くきっかけにもなりました。
人と人の対面接触が不可欠な接客や運輸、製造、物流などの重要性が再認識された一方、その他の業種では、試験的でもテレワーク化が一気に進んだのも、プラスと捉えていいでしょう。国や地方自治体が紙の書類や捺印の必要性を見直す機運もあり、無駄で非効率な作業を見直すきっかけになっています。
雑談が、実はスムーズなコミュニケーションに不可欠だったことも再認識されています。ノウハウが共有されたり、新しいサービスが開発されることを促進しています。また、人によっては苦手だった、業務外・終業後の付き合いが一切なくなり、ストレスから解放されたことにも、共感が集まりました。対人スキルが高くない人ほど、実は上手く順応できている様子は、コミュニケーションレイヤーの拡張を連想させます。
これらのちょっとした視点のシフトや新しいニーズは、次のビジネスチャンスのヒントに溢れています。そのことに気付くには、心身共にゆとりが不可欠。もちろん、それはシステム運用も例外ではありません。
サービスも人も、ダウンさせるわけにはいかないのがシステム運用
前代未聞の緊急事態こそ、豊富な現場の経験が活きるもの。つまり、火事場に百戦錬磨のエンジニアをアサインするなら、それ以外の業務は豊富な経験を持つ人材でなくても―むしろ人間に頼らなくても、無理や無駄なく回せるような体制を整えておくことが不可欠です。
そのためには、システム運用や保守が属人化してしまうリスクを減らしておく必要があります。専用のサービスやツールを利用をすることで、現場に行って、マンパワーで回さなければならないことを減らすことは、担当エンジニアの作業負荷を軽減できるだけではありません。業務フロー全体が簡素化され、コストダウンにもつながり、人の感染リスクを抑えることを、同時に達成できるのです。
限られたエンジニアの作業負担を減らして、効率的に運用することが、ビジネスを維持し、これからの時代に対応していく上で非常に重要なことが、改めて証明されたともいえるでしょう。これは、今後も強化していくのはもちろん、まだ着手できていなければ、今すぐに実践すべき最大の対策の一つです。
現場が疲弊する3つの脅威:もう一度システム運用を考える(1)
https://un4navi.com/prologue/20088/
重要性が再評価された、システム運用という業務の意義
この「運用ナビ」では、システム運用という仕事は、ビジネス上の利益を生み出さず、ただ費用が掛かるだけの「コストセンター」であると誤解されがちな業務だと、何度となく説明してきました。本当に不幸なきっかけではありましたが、そのビジネス上の利益にとって、平時からの適切な運用や保守管理が、どれほど重要な業務であるかが再認識されたことは、不幸中の幸いの一つかもしれません。
医療現場が非常に大変な状況にあることは度々ニュースでも報道されましたが、実は、IT社会を陰で支えるシステム運用の現場も、それなりに過酷な状況でした。ビジネス環境でこれだけの大きな変化があっても停止させることなく、自身も罹患しないように細心の注意を払いながら、安定した運用を支えてきた現場担当者の奮闘振りを考えると、自分やチームに拍手を送っていいでしょう。
ビジネスやプライベートの区別なく、社会が完全に元通りにはることはなさそうです。むしろ、折角、苦労して対処してきた貴重な経験を次へ活かすには、元に戻す必要がない無駄や非効率な作業を、可能な限り排除する機会にしなければなりません。変化が大きく、予測が困難な時代にあっては、柔軟かつ迅速に対応できるだけの余裕が、システム・組織体制・コスト・人のすべてにおいて重要です。
次回は、再評価された(と信じたい)システム運用の現場で問題になっていた・今もなっていることを振り返って、その対策や次へのヒントを一緒に考えてみましょう。
システム運用こそが組織存続の生命線!コロナ禍の運用を考える
https://un4navi.com/efficiency/21121/
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