イレギュラーが起きてもシステムを止めない!サポートの覚悟:現場のプロに聞いてみた(9)

アウトソーシングの目的は「人減らし」じゃない!:現場のプロに聞いてみた(11)

あけましておめでとうございます。
本年も「運用ナビ」をどうぞよろしくお願いいたします。この一年が、エンジニアや経営者の方を含め、システム運用の現場に関わる皆さんにとって、素晴らしい日々となることを願っています。
さて、2020年の最初は、サポートやアウトソーシングを担当するIさんへのインタビュー。少しお酒が入った勢いで、いろいろお話を拝聴しました。

サービスやツールを使って自動化しないと、生き残れない

―こうやっている間も、サポートチームの皆さんが仕事をしているわけですね?

I:大丈夫です、ちゃんと優秀なスタッフが動いてくれていますから(笑)。年末年始も関係なく、お客さんのシステムをサポートし続ける、24時間365日のエンジニアリングサービスですから。

―そうですよね。具体的な業務内容は?

I:統合型システム運用サービスの機能を使って、お客さんにサポートを提供しています。監視からのアラートが上がったら、オペレーションを実施して、お客さんのシステムの復旧まで支援する、というのが主なフローです。例えば、システムの基盤に何か障害が起きれば、問い合わせに対応したり、復旧までの対策や影響を確認したり、いろいろなやり取りをお客さんと繰り返して解決へと導いていきます。

―それをチームで回している、と。

I:はい。弊社のサポートは、大きく2つのチームに分かれています。サービスを稼働させるために必要な「設備」チームと、お客さんがSIで組み合わせて作ったシステムを預かって管理する「アウトソーシング」チームです。私は、後者の「アウトソーシング」チームを統括していますが、チーム全体としては、大きく3つの機能を果たしています。統合型システム運用サービス、大規模なエンタープライズ向け、ネットワーク系の統合窓口です。
総勢約190人体制なので、そこそこ大所帯ですが、ほとんどはパートナー企業の皆さんです。常時約10名ずつ、4つほどのグループに分かれていて、東京と大阪を拠点に活動しています。

―この「運用ナビ」では、アウトソーシングについても、いろいろな記事で取り上げて来ました。実際に業務を請け負う側の感触としては、最近はどんな傾向ですか?

I:人材不足は、どんどん深刻になっていってます。どこの組織も人はいないし、来ない。来たとしても、未経験者ばかり。育てるのも大変です。
例えば『手順書はココを見る』『ネットワーク図はこう作る』とか、『具体的にコレを勉強すれば、システム運用に関する最低限のノウハウが身に付く』とかが、ある程度示せると人材育成もスムーズです。スタッフをマンツーマンで教えることになると、それに付き合うメンバーの時間ばかり掛かってしまうので、自発的に学習できるような教材を作っておくのも重要。この2~3年は、そんなことばかりやってる気がしますが。
そうやって育成した人材で、十分な体制が整うまでには時間が掛かります。また、人材の単価も上がってくるので、トータルの人件費も上がります。標準化・仕組み化しないと、人材は流出するばかり。優秀な人材や業務の質を維持するためには、人でなくてもいいところは、サービスやツールを使って自動化していかないと、今後はますますやっていけません。
これらは、弊社自身の問題であり、お客さんの問題でもあるんです。

イレギュラーが起きてもシステムを止めない!サポートの覚悟:現場のプロに聞いてみた(9)

台風19号の計画運休では、イレギュラー体制で対応

―昨年を振り返って、仕事はどうでしたか?

I:10月の台風19号のときは本当に大変でした。新語流行語にもランクインした「計画運休」が実施されて、電車が完全に止まりましたからね。弊社は、いろいろな事態を想定して、複数の路線が乗り入れる地域にオフィスを構えてはいるんですが、あれはイレギュラーな対応でした。
昼の12時で電車が完全にストップしても、出勤しなければならなりません。夜間のシフトのスタッフは、昼前までに出社して待機してもらいましたし、ホテルも30部屋ほど予約しました。

―大変でしたね。今年の東京五輪も同じような状況になりますよね?

I:はい、そっちも大変です(笑)。競技スケジュールや会場、弊社のスタッフが住む場所や通勤経路など、いろいろな要素を考慮して、今年の7月から8月に掛けては、7時と16時でシフトを切り替えるように予定しています。しかし、これも今まで経験したことがない出来事なので、臨機応変に対応していきます。
幸い、大会が開催されることで、ビジネスに大きく影響を受けるお客さんは、今のところないんですが、どんなときでも影響を最小限にできるように、必要なチーム体制をとっています。しかしそうはいっても、一番困るのが保守部材なんです。

―やはり、物流ですか?

I:そうです。例えば、ハードウェアが壊れてしまったら、業者さんが交換用の保守部材を持って移動しなければならないんですが、これが止まってしまう。これは、弊社自身のサービスの機器交換でも起こる問題です。
交通機関が予定通りに動かないというより、人も含めて動きが読めません。影響が長期化・広域化する可能性もあります。お客さんにも事前にアナウンスして、ご理解をいただくと同時に、必要な事前準備や回避策を十分に取る計画です。

『あなたの真の価値は何か?』が問われる

―そういえば昨年は、大手のエンジニアの配置転換に関するニュースが衝撃的でしたね。

I:業界に激震が走りましたが、氷山の一角だと思います。僕らが接しているのは、主に情報システム部門の人たちなんですが、古いスタイルで仕事をやってきた人ほど、RPAなどを導入して自分が楽になることで、『自分の本当の価値がわからなくなってしまう』んです。どんどん人が要らなくなる中で『その人の価値とは何なのか?』、これもお客さんに限らず、弊社自身の大きな課題です。

富士通、2850人が早期退職 営業・エンジニアに配転も:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41469100Z10C19A2TJ1000/

損保ジャパン、4000人削減=ITで効率化、介護分野などに配転:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019062401063

 

現場で働くエンジニアへのインタビューシリーズも、回を重ねてきましたが、Iさんのお話はまだまだ続きます。

システム運用をアウトソース!?コストや効率化だけじゃない真価とは?|運用ナビ
https://un4navi.com/efficiency/19047/

システム運用も、DXとアウトソースが待ったなし!:現場のプロに聞いてみた(10)
https://un4navi.com/interview/20077/

 

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