スピーディな開発でクラウドを便利に:現場のプロに聞いてみた(4)

スピーディな開発でクラウドを便利に:現場のプロに聞いてみた(4)

前回は、クラウドサービスについての現状をKさんに伺いました。予告なしの仕様変更や、均一の商材としての販売の難しさ、ユーザニーズの変化など、さまざまな要因が複雑に絡み合い、開発現場の状況も、ビジネスとしての販売も、なかなか大変そうです。

Azure/GCP/AWSの各クラウドとニーズ:現場のプロに聞いてみた(3)
https://un4navi.com/prologue/19065/

求められる細かいサービスを、スピーディに提供

―前回のお話では、クラウド各社の新しい機能にキャッチアップし続けていくには、開発のサイクルも短く、スピードも求められるということでした。

K はい。新しい機能もどんどん出てきますし、ちょっと前に使っていたものでも古くなっていることもあるので、昔のような悠長なことは言ってられません。
そういう背景もあって、パブリックなサービスに限っては、ここ最近は、サイクルもスピードも上がっています。長く使えるサービスをじっくり腰を据えて開発するというより、その時点で最も有効なソリューションを使って、素早くサービスを提供する方が、ユーザのメリットになる気がしています。折角、時間や人材などのリソースをつぎ込んで開発しても、1年後には古くなってしまったり、クラウドサービス本体が出してしまうことがあるので。

―巷では、折角、手間暇を掛けて自社で開発したサービスが、負の遺産になってしまったような話も…。

K よくあります。例えば、自社設備でつくるサービスは、データセンターや機器の調達する投資が必要ですよね。そうするとやっぱり、『折角、投資したんだから、回収するまでやめられない』という風潮になります。でも、結果として売れなかったら拡張もできないし、でも捨てるわけにもいかず、その面倒はみないといけないので、新しいサービスが作る余裕もない…。これは悪いスパイラルです。
なので、なるべく手早く、例えばPaaSなどを使って立ち上げて、やめる時はさっさとやめたりシュリンクしていくという選択もできる。そういう、クラウドならではのメリットを活かしたスピード感が、さらに重要になってきています。流行り廃りの激しいものを扱う業種は、特に重要ですね。

―しかし、クラウドの機能がどんどん強化されていくと、ユーザだけで完結することも増えるのでは?

K そうなんです。PaaSやFaaSは、ユーザにはやっぱり便利なんですよ。買ったらすぐ、Webサーバのような仕組みが簡単に使える。プログラムも書く必要がなくボタン一つで、ある程度のことが自分たちでできる機能もある。なので、ユーザは二極化していくような気はします。

―二極化というと?

K まず、今いったような、クラウドサービスを使い、企画やビジネスロジックを実現したり、ちょっとしたアプリケーション開発まで自分たちでやるような、クラウドネイティブなユーザです。今後、クラウドの機能もどんどん強化されていくので、こういうユーザは増えていくはずです。
一方、作る環境がオンプレミスからクラウドに変わるくらいで、今まで通りSIerにアウトソースし、自社やデータセンターなどに常駐してもらう形も、一定数は残っていくと思います。ただ、そういった仕事も当然弊社にもありますが、僕らの真の事業ドメインではないんです。

―そうなると、やはり組織としての真の強みが問われますね。

K はい。クラウドサービスが充実していけばいくほど、SIerをやっている会社にとっては、インテグレーションだけで価値は付け辛いわけです。そんな条件の中で、どうやって他社と差別化し、売上を確保していくか?というのは大きな課題です。弊社のSI部門も同じことがいえます。
僕らの価値は、クラウドサービスの再販をきっかけにした、付加価値の高いサービスをトータルで提供できることです。クラウド移行へのインテグレーションや、マルチクラウドのセキュリティ、クラウドサービスを便利で快適に使うためのネットワークなど、いろいろなソリューションをまとめてユーザに提供できます。

スピーディな開発でクラウドを便利に:現場のプロに聞いてみた(4)

―ところで、主要クラウドは全部アメリカ製ですが、何か、日本のユーザに販売する上での違いはありますか?

K 日本リージョンへのリリースが少し遅かったりはしますが、さほど大きな制約はありません。ただ、クラウドに限らず欧米のサービスは、提供側の都合に合わせる傾向が強いんです。例えば、『明日からこう変わるから、こういう風に設定変えてね、以上終了』とか。弊社のサービスも含めて、もし日本の企業がこんな事したら、間違いなく顧客からどやされます(笑)。
一方、ユーザ側にしても、何か使えなくなったら『クラウドサービスだから仕方ないか』で割り切ったり。クラウドサービスについて、寛大というかあきらめというか。大らかといえば、そうなのかもしれませんけど。

―なるほど。クラウドの機能というより、ビジネスの文化的な違いですか。

K それは感じます。そもそも、世界的な巨大企業は、あまり日本の事情を汲んだサービスは出してこない傾向があります。日本の企業文化が独特なのか、細かいところにまで目が届かないのか、マーケット的な旨味がないからなのか。
一方、日本の会社って『クラウドサービスに対して閉域で接続したい、そうでなければ使わない』とか、『安定した高速なスピードは絶対!』のようなニーズが多いんですよ。これも、グローバルからみたらニッチな領域なのかもしれませんが、僕らはそこは日本企業のニーズだと汲み取っています。巨大組織がやらない領域で、ユーザが快適にサービスを使えるような細かい気配りをしています。

―大手は、他社やサービスを買収して、急に変わったりもしますよね。

K そうなんです。業界の動向には常に注目して、買収の意図から将来の予測はします。Microsoft/Google/Amazonに限らず、巨大企業がサービスや企業の買収を繰り返しては、自分たちが欲しいところを取り込むだけ取り込んで、要らないものはすぐ捨てたりを繰り返してますよね。そして、気がつくと世界規模のビッグプレーヤーしか残っていない。自社の機能に、買収したサービスをインテグレーションするなんて簡単にはできないはずなんですが、それを実現してしまうのが、やはりすごいところだと思います。

―例えば、開発していた機能が、ある日、そっくりクラウドサービス側で実装されたりするんですか?

K もうメチャメチャたくさんありますね、デベロッパ泣かせなところは(涙)。
僕らは、基本的にはクラウドサービスを使うためのネットワークを中心とした、付加価値サービスの提供を柱としています。一方、そういったものを持たずに、クラウドサービス自体の付加価値のサービス開発を生業としているベンダーさんで、僕らよりも泣いてる会社さんはいっぱいあると思いますよ。企業が開発する機能によっては、本当に経営に強く影響するほどのインパクトです。
世界規模の買収に限らず、水面下では、一般の人が目にするよりもさらにいろいろ、細かくて複雑な仕組みが、高速に変化しています。それに追従する人的リソースやコストも発生するので、変化が激しい中で利益を出していくのは、本当に大変です。

 

前回よりもさらに、胃が痛くなりそうな話も出てきました。クラウドサービスは、確かに手軽に使えますが、より便利だったりセキュアに使おうとすると、いろいろなカスタマイズが不可欠。そのためのプロがいてくれることは、システム運用の担当者としては安心です。現場のエンジニアトークは、さらにさらに続きます。

IIJクラウドプロキシサービス
https://www.iij.ad.jp/biz/cloud-proxy/

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