仮想化サーバの運用(2)- デメリットや制限、導入前の注意点とは?

前回の記事のように、仮想化にはさまざまなメリットがあり、システム運用の現場で抱える課題の解決につながります。しかし、当然のことながら、いくつかのデメリットもあります。

仮想化サーバの運用(1)- 物理サーバと比較したメリットと特徴とは?
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仮想化した環境を維持管理する専門知識が必要

仮想化環境では、ハードウェア台数の削減やシステムの一元管理で業務が効率化できる一方、専門的な知識が要求されます。技術者が、通常のサーバ運用技術や障害対策のノウハウに加え、仮想サーバ運用の専門知識やスキルを身につけられるように、組織内外での教育や研修を定期的に実践するコストも必要です。また、すでに仮想化環境の専門技術や経験を持っている優秀な人材は確保が難しく、高額な人件費も発生します。仮想化環境の検討から導入、実際の運用までの期間が長期化する可能性もあります。

物理サーバほどのパフォーマンスは望めない

仮想化は、専用のソフトウェアを使って、物理的な1つのリソースを論理的な単位に分割して稼働させて使う技術です。実際のハードウェアとしてのサーバ環境で稼働させる時には必要なかった、「ハイパーバイザ」と呼ばれる仮想化ソフトウェアを介して、OSやアプリケーションが実行されます。そのため、物理サーバと同程度のリソースでも必ず性能は劣り、上回ることはありません。ドライバ類を使う場合も、ハードウェアのネイティブ環境で動作するよりも、ハイパーバイザ経由で動作する方が、パフォーマンスは低く抑えられます。
そのため、物理サーバと比較するとオーバーヘッドが発生し、パフォーマンスに影響します。仮想サーバをクラウド環境で利用する場合は、ネットワークの影響も受けます。コストダウンを意識しすぎるあまり、物理サーバのスペックが低い環境で稼働させる場合には、必然的に仮想サーバの処理能力も低くなってしまいます。このため、高速なI/Oを使うシステムや、安定した高い精度でパフォーマンスが求められるシステムには、仮想サーバは適さないことがあります。

小規模な単位ではスケールメリットを活かせない

仮想化環境の強みを活かすには、ある程度の規模以上で稼働させるスケールメリットを意識する必要があります。小規模な環境では、仮想化ソフトウェアやストレージ、専門技術者を用意して運用するコストが十分にペイできず、物理サーバに比べてむしろ割高になってしまいます。

物理サーバの障害によって広範囲に影響を受ける

障害に強いというメリットと相反しますが、逆に、広範囲に影響を受けてしまう可能性もあります。
物理サーバでは、1つのサーバに障害が発生した場合でも、影響を受けるシステムはそのサーバ上で稼働しているシステムだけで済みます。しかし、同じ物理サーバ上で、仮想化されたサーバを一元管理するということは、ハードウェアに障害が起きた場合には、稼働しているOSやアプリケーションすべてに、同時に影響が出てしまう可能性があることを意味します。しかも、影響範囲が広範囲に渡ることもあります。

障害対策を強化する必要がある

これも、管理が必要なサーバの台数を減らし、リソースを集約できるメリットとのトレードオフです。仮想化環境では、障害対策を強化する必要があります。冗長化対策や、仮想ファイルの定期的なバックアップ、スナップショットの管理など、場合によっては、仮想サーバに限らず物理サーバのレベルから、システム構成を検討しておくことが不可欠です。

最新機能が優れているとは限らない

仮想サーバを提供している各ベンダーは、他社との差別化のために、最新機能を全面的にアピールしていることが目につきます。しかし、実際に現場に導入してみたところ、最新すぎて自社の環境にはマッチしなかったり、動作や機能の条件が限られていたという、期待外れに終わることもあり得ます。派手な最新機能よりも、自社の環境に合って、課題の解決につながる仕様になっているか、慎重に選定することが重要です。

仮想化してまで、古いシステム環境を延命する価値とは

レガシーなシステムの延命により、業務フローや移行コストが発生しないことをメリットに挙げました。その一方で、そもそも仮想化してまで、古いシステムを延命することに価値はあるのか?を考える必要があります。
遅かれ早かれ、どこかのタイミングで、新しいシステムへ移行せざるを得ない状況は必ずやってきます。また、仮想化して古いシステムが延命されていることにより、サービス全体の移行が進まなかったり、トータルのパフォーマンスが上がらないボトルネックになっているようであれば、わざわざ仮想化するよりも、現状のハードウェアに対応した新たなシステムの導入を検討すべきかもしれません。

既存の周辺環境との連携が不十分

これも古いシステムの延命にも関係しますが、事前のチェックが不十分で、いざ仮想サーバを稼働させると、ファイルサーバの動作が鈍くなったり、プリンタが動作しなくなるような影響が出ることもあります。今、実際に稼働している環境と、新たに導入する仮想サーバとの間で整合性を確認しておかないと、思いもしなかった周辺環境に影響が及ぶことも考えられます。優先順位が低いために後回しにしていた確認事項ほど、代替手段が少ないことも。

仮想化によって得られる「真のメリット」とは何か?

仮想化は、広くいろいろなところで普及している技術になっています。しかし、場合によっては十分な効果が実感できないこともあるでしょう。仮想化には多くのメリット・デメリットがありますが、デメリットをカバーするだけのメリットは得られるのか、現場ごとの見極めが重要です。
コスト削減効果についても、一般に期待されているほどには、具体的な成果につながらないという声も聞きます。仮想化環境を運用する時の注意点は、目先のコスト削減だけを目的にしないことです。
仮想サーバを構築して運用することで、物理サーバの台数は確かに減り、管理コストは確かに抑えられます。その一方で、仮想化環境を安定して使い続けるための専門技術者や、障害対策としての冗長化など、思わぬところで負担も増えます。
また、物理サーバと違い、目視しただけでは稼働状況を判断できない仮想サーバは、管理運用手法が異なります。複数の仮想サーバを統合的・合理的に運用できる専用サービスが不可欠です。長期的に見て、運営業務の効率化や負担の軽減などと合わせて、トータルで検討することが不可欠です。

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