• HOME
  • プロローグ
  • 運用エンジニアのマインドと存在意義:現場のプロが語ってみる(4)

運用エンジニアのマインドと存在意義:現場のプロが語ってみる(4)

IIJの福原です。システム運用エンジニアにはいろんなタイプの人間がいます。キャリアや能力レベルの違いだけでなく、その人の個性や指向、向き不向きがあります。人間ですから当たり前ですよね。そもそも、評価されない仕事だと腐ることはありません。適材適所な人材を見極めるのも、運用設計には非常に重要なことです。

そもそもの、運用担当者のマインドの違い

私自身、監視や運用の仕事をやり始めたときに、『監視や運用をやりたい!と思っていたか?』と聞かれると、別に、そんなことはありませんでしたから(笑)。運用設計にしても、少しずつ現場で経験を積みながら、段々と運用設計の工程にも関わるようになってきて、気がついたらいろいろ任されるようになっていった、というのが現実です。『そんなに嫌いじゃないことをやり続けていたら、いつの間にかこうなっていた』というのが正直なところです。
システム運用設計に関わっている人は皆さん、恐らく、同じようなキャリアパスを経ていると思います。そのため、運用設計のスキルだけが優れているエンジニアというのは、存在しません。運用設計もやっている、というのが現実です。運用設計を少しやったからといって、すべて覚えられるわけでもありません。
そもそも、その人がシステム運用の業務に向いているかどうかは、スキルとは別に、個人差もあると思います。例えば、いろいろ考えたり、工夫するエンジニア指向の人もいれば、余計なことを考えず、ミスせずに繰り返すオペレーター指向の人もいます。
私は、改善だとかモノ作りが得意なタイプです。例えば、『その作業は本当に必要なのか?』、『もっと違うやり方はないか?』、『さらに自動化・効率化できないか?』を、常に考えます。逆に、同じことをきっちりやり続けるのは苦手なんですね。漏れやミスなく、確実に実行できるオペレーターには向かないことは、自分でもはっきり分かっています(笑)。
これらの違いは、善い悪いではなく、個人のマインドの差なので、業務に向き不向きがあるのは当然です。運用設計をするには、どちらのタイプが向いているとは決められませんが、いろいろなマインドを持ったエンジニアたちを、適材適所にうまく配置する、幅広い視野が必要です。どんな経験も、無駄になることはありません。

<PR>エンジニアそれぞれの個性や考え方、向き不向きの違いを活かせば、チームはさらに強くなります。システム運用を強くするなら、SaaS型の統合運用管理サービス「UOM」!
詳しくはこちら

運用や監視は、やりたくてやる業務ではない!?

そもそもシステム運用という業務自体が、『上手くいって当たり前、ミスすればマイナス』という性質の業務なので、重要性はなかなか評価してもらえないですね。利益を生まずに経費ばかりが掛かるコストセンターとして誤解されますが、一般的にコストは下げる方でしか意識されないものです。組織の経営層に認識してもらい、評価を上げることは非常に難しいです。お客さんも、ITシステム運用が本業ではないので、評価基準がはっきりしない。
システム運用の本質は、システムを止めることなく、ビジネスを安定稼働させ続けるための一つの「手段」です。残念ながら一般的には、その手段に、資金や人など貴重なビジネスリソースを使う方向にはありません。この点は、今後も変わらないでしょう。

システム運用のコスト削減(1)- コストが掛かる理由はコレ
https://un4navi.com/efficiency/19020/

こう聞いただけでは、あまり魅力的な仕事だとは思われないかもしれません。ただ、確かにシステム運用は、売上に直接関わることはないように思えますが、ITシステムをビジネスで使う上では、開発と運用はセットで考えるべきものです。
例えば、弊社では、他社さんが作ったシステムの運用だけを、途中から委託されることもゼロではありません。その場合は、現状を調査して整理し、運用手順書も更新して、改善点や具体的な方法を提案して実施する。つまり、設計からやり直さなければならないことがほとんどです。引き継ぎや再教育など、本来、必要でなかった業務まで含めて考えると、システム全体として、コストパフォーマンスが悪くなるのは当然です。
こういう事態を避けるために、最初に運用設計が必要なんですね。どんな業務にも、変える必要がない・変えてはいけない部分と、変えた方がいい・変えなければならない部分とがあります。運用設計には、長期的な視野でビジネスを俯瞰し、システムや人材、コストを最適化する視点が不可欠です。地味でも、非常に重要な業務なので、『無駄なコストが掛かるだけ』の仕事なはずはないんです。

次回は、運用設計をアウトソースできるという話と、実は運用設計が「職人技」であるということを説明してみたいと思います。お付き合いください。

【前回までの連載内容はこちらからご覧いただけます】

【連載1】運用設計って一体どんな仕事なのか?:現場のプロが語ってみる(1)
【連載2】正解がない運用設計という「思想」:現場のプロが語ってみる(2)
【連載3】設計に至る運用エンジニアのキャリア:現場のプロが語ってみる(3)

IIJ_福原亮株式会社インターネットイニシアティブ
システムクラウド本部
クラウドサービス3部 副部長 兼 M&Oサービス開発課長
福原 亮

<PR>理解されなくても、システム運用という仕事が、ビジネスに重要なことは変わりません!SaaS型の統合運用管理サービス「UOM」で、自動化・効率化して楽しましょ!
詳しくはこちら

関連記事一覧